宮崎地方裁判所 昭和36年(行)8号 判決 1971年12月06日
原告 全逓信労働組合 外一名
被告 国 外一名
主文
一、原告らの被告延岡郵便局長に対する訴を却下する。
二、原告らの被告国に対する請求をいずれも棄却する。
三、訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
当事者双方の申立ならびに事実上の主張は別紙準備手続要約調書のとおりであるからここにこれを引用する。
理由
第一、当事者間に争いない事実
一、原告全逓信労働組合(以下「全逓」と称す)は、被告国によつて雇用され、郵政省所管事業所に勤務する労働者が組織する労働組合であり、原告全逓信労働組合宮崎県北部支部(以下「支部」と称す)は全逓に加入する労働者のうち宮崎県延岡市、西臼杵郡および東臼杵郡の一部に所在する郵便局に勤務する労働者が組織する労働組合であり、全逓の下部機関を構成するものである。
二、被告国は、郵政事業等を営む行政機関として郵政省を置き、その地方支分部局である郵便局をして現業事務を行わしめるものであり、被告局長は郵便局の事務を掌理し、原告支部に対応して省側を代表する公共企業体等労働関係法(以下「公労法」と称す)九条に定める交渉委員である。
三、原告支部代表者支部長土田清は、被告延岡郵便局歴代局長又は同局の各課長との間に(別紙準備手続の要約調書に添付の別紙目録〔以下別紙目録(一)と称す〕のうち第一につき局長石井利勝と、同第二につき郵便課長中野正男と、同第三につき庶務課長藤田七二と、同第四につき右中野・藤田と、同第五につき貯金課長松岡峯夫と、同第六につき保険課長小野幸平と、同第七・第八・第九につき郵便局長谷崎要三郎と各署名押印した。右各課長のうちでは藤田のみが前記交渉委員である。)別紙目録(一)各記載の日時に、同目録記載内容の各書面を作成の上双方署名・押印した。
右各書面の表題には「確認書」、「服務についての確認事項」、「議事録」、「議事録確認書」と、又末尾には「上記議事録として確認する」旨の各記載がある。
四、被告局長は、昭和三六年八月一二日、右各書面に記載の事項を破棄することをその内容とする「破棄通告書」と題する書面を原告支部あてに送達し、以来右各条項を無視している。
五、郵政大臣あるいはその代理人は全逓中央執行委員長あるいは右代理人との間に別紙目録(二)の1ないし18に記載の各日時に各表題を有する労働協約(以下中央協約と称す)を、また熊本郵政局人事部長あるいはその代理人は九州地方本部執行委員長あるいはその代理人との間に、同目録の19ないし22に記載の各日時に各表題を有する労働協約(以下地方協約と称す)を締結したが、そのうち同目録2の協約(有効期間の起算日は協約締結日)第五条には、団体交渉で決定した事項は、原則として直ちに成文化し、双方の代表者が記名押印する旨の記載(以下記名・押印に関する条項と称す)がある。
右協約は同目録11および14の各協約(14の協約の有効期限は昭和三一年三月三一日)中に引用されているから、右条項の有効期間は昭和二八年五月一二日から昭和三一年三月三一日までということになる。又九州地方においても、同目録20の協約中の第四条には議事録を相互に確認した場合はその余白に確認者が署名・押印するものとする旨の定め(以下署名押印に関する条項と称す)があり、右協約の有効期間は昭和二八年九月一七日から同年一〇月三一日までであつた。
さらに同目録17の協約中にも記名押印に関する条項があり、右協約の有効期間は昭和三五年一二月一二日から昭和三六年六月三〇日までであつた。
六、郵政省と全逓との間においては前項掲記の各労働協約により、中央・地方および支部の三段階にわたる交渉の場が設定され、団体交渉の運営が行われる手続になつているが、中央交渉においては、組合員の一般的・基本的労働条件の決定を交渉の主目的とし、服務表・勤務指定表および担務指定についても、昭和三三年四月一五日「勤務時間及び週休日等に関する協約」が締結されている。
七、別紙目録(一)の各確認事項の履行状況
(一)、同目録第一のうち五項については、当時の生島庶務課長は既に転勤済である。
(二)、同第二全項は昭和三六年八月二二日新服務表が作成されているので全項変更されている。
(三)、同第四のうち一項に記載の郵便外勤作業室および郵便外勤休憩室の清掃(ふき掃除を含む)は現在外部業者に行わせている。
(四)、同第五に記載の過員は既に配置転換済である。
(五)、同第六、第七の一・二項に記載の募集指導官制度および貸付監査票の庁外持出しは現在行つていない。
(六)、第八中三・四項については当局側が履行済である。
(七)、第九全項は昭和三五年から三六年正月にかけ履行済である。
第二、争点に対する当裁判所の判断
「本案前の抗弁について」
一、被告局長の当事者能力
被告郵便局長は国の一行政機関であつて独立の人格をもたず、行政事件訴訟において被告あるいは参加人となりうる場合は別として、本件のように労働協約の効力確認を求める通常の民事訴訟においては、当事者能力を有しない。
また、被告局長は公労法九条にいう「交渉委員」であるが、これをもつて本件訴訟における当事者能力があるとはいえない。
なぜならば、同条は公共企業体等又は組合を代表して団体交渉をする資格を認めた、いわば交渉手続に関して特別の定めをしたものに過ぎず、このことをもつて交渉委員に労働協約上の権利義務の主体としての資格を認めたものということはできないからである。
二、別紙目録(一)記載の各確認事項の確認の利益
本件につきこれをみるに、各確認事項は後記認定のとおり無権限者の締結した無効のものであるから、原告の被告国に対する右事項確認請求については棄却を免れず、訴の利益の有無につき判断するまでもない。けだし訴の利益は一般的には本案判決の前提要件であるけれども、その有無につき特に判断を要する事情がない限り本案に理由のないことが一見して明らかな場合には、便宜訴の利益の有無につき判断することなく本案判決をすることはさまたげないものであり、本件においても訴の利益の有無につき特に判断を要する事情は認められない。
「本案について」
一、被告局長・同局各課長の労働協約締結権の有無
(一)、郵便局長の権限については、郵政省設置法・郵政省職務規程に、郵便局課長の権限は郵便局組織規程に、各制定されているところ、それらには局長・課長らに労働協約締結権を付与する旨の規定は存しないし、又解釈上右結論を導びき出すことの出来る規定も見当らない。
(二)、被告局長および同局各課長の一部は、省側交渉委員として公労法九条により公共企業体等を代表して当該支部単位における組合側交渉委員と団体交渉する権限を与えられているけれども、更にすすんで協約締結権を有するかどうかについては明文の根拠を欠くし、労働協約は労働協約中協約に反する部分を無効にする「規範的効力」あるいは当事者間に債権・債務関係を生ぜしめる「債務的効力」を有し、労使間に最も強い法的効果を及ぼすものであるから、右委員として団体交渉権限があるからとて、それだけで当然に協約締結権を認めることは出来ない。(交渉単位・交渉委員と協約締結権とが対応していないところに問題点はあり得るとしても、これも労使双方内部における組織の実体、その対応関係の現状のくいちがいなどからすると、必ずしも背理のものとはいえない。)
(三)、原告は、郵便局長・課長らの労働協約締結を禁ずる旨の法令がない限り右局長・課長らは自己の職制上の権限内事項について労働協約締結権を有する旨主張するので検討する。
(1)、郵便局長の職制上の権限はすべて郵政省職務規程により郵政大臣から授権されたものであり、その内容も人事あるいは予算の実施面に関するもののうち比較的軽微な事項について授権されているに過ぎないのであるし、その他本件各証拠、弁論の全趣旨によつても、郵政省の業務実施末端の下部機関である郵便局長が上局から人事・予算その他の面で独立した企画・変更権を有する一個の経営主体ないしそれに準じた裁量権の保持者と見ることは法文上また実質上からも困難である。従つて郵便局長は包括的な労働協約締結権を有する当事者としての労組法一四条の使用者にあたらない。(この点に関しては同じく公共企業体・国の経営する企業の中でも、その業務の目的・性質・組織のちがいによつて、結論を異にするところがあろう。)
(2)、そして、このように局長の権限が従属的であるとするならば、労働協約はその強い効力の故に、一たん締結されると、その権利・義務の帰属主体である国ひいては国民の利害を将来にわたつて拘束するものであるから、局長が国の郵政業務実施上またそのための組織維持のために定められた職制上の権限に属する事項だからといつて当然に労使間の契約関係に関する協約締結権まで有するとは言い難く、その授権の有無は使用者側の内部関係によるほかなく、本件では郵政省設置法・同職務規定ないし具体的な委任の問題となろう。法・規定による授権がないことは前示のとおりである。
(四)、したがつて郵便局長のもとでその権限に属する事項のうち軽微なものについてのみ委任を受けて権限を行使しているに過ぎない郵便局各課長(郵政省職務規程六条、昭和三三年七月一九日付延岡郵便局課長委任規程)が労組法一四条の使用者に該当せず、かつその職制上の権限内事項について当然には協約締結権を有しないことは前示郵便局長の権限に関する判断に照して明らかである。
(五)、被告局長あるいは同局各課長らの労働協約締結権につき、郵政大臣による明示の授権の有無
その方式および趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙一号証ないし五号証、証人北雄一郎・同砂原猛・同石井利勝・同谷崎要三郎の各証言を総合すると、労働基準法二四条同三六条の規定に基づく労働協約ならびに地方における団体交渉の方式に関する労働協約につき、郵政大臣は、各地方局の事情・特殊性を考慮した上で締結されるべきであるとして郵便局長にもその締結権を授与した事実を認めることが出来る。しかしながら右以外の協約締結については本件全証拠によるも右授権の事実が認められず、かえつて本項冒頭に掲記の各証拠によれば、前記のとおり強力な効力を有する包括的な労働協約の締結権を各地方郵便局長に与えるならば、本来全国的な規模で円滑に遂行されねばならない郵政省業務の統一性を乱すおそれがあることを理由に、右限定的な授権をのぞいては郵便局長にまでは授権していなかつた事実が認められる。
(六)、中央・地方協約による郵便局長あるいは各課長への労働協約締結権の授権の有無
成立に争いない甲五、六、八、一〇(枝番号を含む)、一一号各証および理由第一の三、第一の五に記載の争いない事実を総合すると次の事実が認められる。
別紙目録(二)に記載の各中央・地方協約中には郵便局長あるいは同局課長に対して労働協約締結権を与える旨の条項は存在しない。
只同目録2・11・14の各中央協約および同目録20の地方協約中には記名(署名)押印に関する条項(前掲第一の五)が存在するけれども、右各協約中同目録17を除いたものは昭和三一年五月の公労法改正以前交渉委員会制度が存した当時その運営に関して、中央・地方において各締結されたもので、同制度の廃止された右改正後の交渉委員である延岡郵便局長あるいは各課長には適用されない。
また同目録17の協約の内容はその表題のとおり団体交渉の方式・手続を定めたものにすぎない。
要するに、右各協約中に規定されている双方代表者あるいは確認者による記名(署名)押印に関する条項も団体交渉の際その決議事項につき記名(署名)押印して労使双方が確認しあうという事実行為につき規定しているにすぎず、更にすすんで右条項により支部単位の交渉委員である郵便局長あるいは課長らに協約締結権までをも付与したことを確認ないし表示しているとまではなしがたい。
(七)、郵政大臣がいわゆる支部単位交渉委員たる被告局長あるいは同局各課長らの一部に対して労働協約締結権を黙示的に授権していたとみうる慣行の存否
(1)、記名(署名)押印に関する条項を含んだ中央・地方協約が別紙目録(一)の各確認事項に先行して(但し別紙目録(二)の17を除く)存在していたことは前項のとおりである。
又証人黒木勝善・同今村勝美の各証言によれば、前記破棄通告がなされた昭和三六年八月一二日に至るまでの間、郵政省側は組合あてに、右各確認事項の有効性につき格別の異議をはさんだ形跡も見受けられないことがうかがわれさらに右確認事項のうち相当数が当局によつて履行済であることは前掲第一の七のとおり当事者間に争いがない。
(2)、しかし、他方前項認定の諸事実に照らして考えると、右(1)の事実だけから原告主張のような慣行の存在を推認することは困難であり、その他本件係争局課もしくは他の郵便局におけるかかる慣行の存在を得心させるような立証はない。
二、別紙目録(一)の各確認事項の表題には「確認書」、「服務についての確認事項」、「議事録」「議事録確認書」などと、また末尾には「上記議事録として確認する」旨の各記載がある。
このことだけからただちに右各確認事項が労働協約としての形式的要件を欠くとは言えないけれども、右事実に前記認定の諸事実を合わせ考えるならば、右事項はいずれも単に被告局長あるいは同局各課長と原告支部元支部長土田清間で主として一回的な当面の諸問題に対する労使間の団体交渉の申し合せ事項を確認しあい、その改善をはかつたという事実行為の域をでないと解するのが相当である。
三、別紙目録(一)記載の各確認事項が労働基準法二四条(賃金の支払)あるいは同法三六条(時間外及び休日の労働)に記載の各協約事項(いわゆる二四・三六協定)、又は団体交渉手続の方式に関する協約事項に該当しないことはその記載内容自体によつて明瞭である。
四、以上のとおりいずれの見地からも、被告局長あるいは同局各課長は、労組法上の当事者としての「使用者」にあたらないばかりか、これに対する一般的ないし当該事項に関する労働協約締結権の授権・委任の事実ないし法的根拠も認め難いから、別紙目録(一)に記載の各確認事項は、労働協約としては無権限者の締結した効力のないものと言わざるを得ない。右認定に反する鑑定人青木宗也の鑑定の結果は、労働組合法一四条・公共企業体等労働関係法八条・九条等の法理ないし郵政省の組織に即した解釈とはいいがたく、採用できない。
従つて本件確認事項の破棄通告の違法性、ならびに損害の点(もつともこの点に関する具体的な立証は何もない。)につき検討するまでもなく、本件確認事項が有効な労働協約であることを前提とする原告らの各請求はいずれも失当というべきである。
第三、結論
よつて原告らの被告局長に対する別紙目録(一)の確認書による協約の効力確認の請求は、当事者能力を欠く者を被告とした不適法なものであるから、却下することとし、また原告らの被告国に対する各請求は、いずれもその理由がないので、棄却することとする。
訴訟費用の負担については、民事訴訟法八九条、九三条一項を適用した。
(裁判官 舟木信光 七沢章 鎌田義勝)
(別紙)
準備手続要約調書
原告 全逓信労働組合
同組合宮崎県北部支部
(原告らの申立て)
一、原告らと被告らとの間において原告全逓信労働組合宮崎県北部支部(以下「支部」という)と被告延岡郵便局長(以下「局長」という。)間における別紙目録記載の各労働協約(以下「本件各協約」という)が効力を有することを確認する。
二、被告国は原告らに対してそれぞれ金五〇万円づつを支払え。
三、訴訟費用は被告らの負担とする。
(被告らの本案前の主張に対する原告らの反ばく)
一、被告局長も本件各協約を何らの理由なく無視して原告らの権利を害しているものであるから本訴の被告たる適格がある。
二、以下の理由により何れも現在確認の利益を有する。
(一) 一項については中央協約が下記日時に締結されたことは認めるが本協約を暫定的とする特約があつたとの事実、下部機関において協議事項とすることができない旨定められた事実は否認する。
五項については生島課長にのみ関する事項ではない。二項及び七項については法律上当然のことでもこれを当局が守らない以上協約として確認の利益あり。履行済との主張は否認する。
(二) 新服務表は原告らの立場を無視して一方的に作られたものであり本協約確認の必要性あり。
(三) 一項については、現在これらの清掃は外務業者に行わせていることは認めるが、協約の存在意義はある。三項について履行済との主張は否認する。
(四) 過員について既に配置転換済であることは認めるが、本協約は過員調整の一般原則に関するものであり確認の利益あり。
(五) 下記制度は現在実行されていないが制度自体は存在する。
(六) 一項の指導官制度自体は存在する。
(七) 三項、四項は履行済であることは認めるも尚確認の利益あり。
(八) 過年度について履行済であることは認めるが、特定期間に関するものではなく一般原則である。
(原告らの請求原因)
一、原告全逓信労働組合(以下「全逓」という。)は、被告国によつて雇用され郵政省所管事業所に勤務する労働者が組織する労働組合であり、原告支部は全逓に加入する労働者のうち宮崎県延岡市、西臼杵郡および東臼杵郡の一部に所在する郵便局に勤務する労働者が組織する労働組合であり、全逓の下部機関を構成するものである。
二、被告国は、郵政事業等を営む行政機関として郵政省を置きその地方支分部局である郵便局をして現業事務を行わしめるものであり、被告局長は郵便局の事務を掌理し原告支部に対応して省側を代表する公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)第九条に定める交渉委員として原告支部と労働協約を締結する権限を有する。
三、原告支部は、被告歴代局長又はその代理人である各課長との間に別紙目録記載の日時に本件各協約を締結した。
四、然るに、被告局長は、昭和三六年八月一一日本件各協約を破棄する旨原告支部あて労働協約の破棄通告をなし、以来右協約を無視してこれが履行をなさない。
五、原告らは、本件各協約を被告らが無視した不法行為により左記合計百万円の損害を受けた。
(一) これに対処するため現実に出費した費用
イ、オグル費金七三、三三〇円
ロ、動員費金一五〇、〇〇〇円
ハ、団体交渉及び組織対策費八二、〇三〇円
(二) 原告らの無形的利益の損失金六九万四、六四〇円
六、よつて原告らは、被告らに対して本件各労働協約が存在することの確認及び右損害金の賠償を求める。
(被告の主張に対する原告の答弁及び反駁)
第一、争う。
郵政省と全逓間において昭和二八年に「団体交渉並びに労働協約締結に関する労働協約」が締結され、これにより団体交渉の決定事項は書面化して双方代表が記名押印すると定められて以後昭和三一年の公労法改正による交渉委員制度になつてからも右慣行は双方で承認されて協約が締結されてきており本件各協約についても昭和三二年ないし三五年一二月に締結されて以降いずれも労働協約として相当長期にわたり双方により遵守されてきたものである。然るに被告らは、施設の不備、超勤が恒常化する程の要員の不足を無視し、その結果である郵便遅配を組合の責任に転嫁せんとして本件各協約を一方的に破棄したものである。
第二、被告らの主張は何れも理由がない。
一、争う
(一) 本件各協約は各局長ら又はその代理人である各課長らが公労法第九条、一〇条及びそれに基づく郵政省と全逓との間の労働協約に基づき、省側を代表する交渉委員として締結したものであり行政組織法上の権限の有無とは無関係に有効な協約である。交渉委員制度は郵政省と全逓間の昭和二八年の「団体交渉並びに労働協約締結に関する協約」により交渉委員会において団体交渉の結果決定された事項は成文化して双方代表が記名押印すると定められ、以後昭和三一年公労法の改正により交渉委員制度になつてからも右協約の締結方法等の方式は全て労使双方の間で承認されてきたものであり、昭和三五年一二月の中央交渉においても確認されている。右各協約及び慣行に基づき局長らは省側を代表して多数の労働協約を締結したものであり、本件各協約もその一部である。右の如く郵政大臣は局長が省側を代表して労働協約を締結する権限を自認ないし委任或いは追認してきており右権限に基づき局長らにより締結され省側交渉委員により記名押印された本件各協約の有効性に疑問はない。
そして、この結果地方における交渉の結論は、いずれも書面に作成し労働協約として双方が遵守してきたものである。本件協約もこのようにして作られたものである。因に九州地方においては、昭和二八年以来「九州地方における交渉委員会の運営に関する協定」第四条に基づき議事録を相互に確認した場合はその余白に確認者が署名押印するものとする旨定めている。又本部においては、「団体交渉の方式および手続に関する協約」において右趣旨の規定がある。
このように被告のいう如き支部においては、単に交渉のみで基準法二四条三六条の協約以外管理者に協約締結権がないというのは失当である。
仮に、労働協約は局長らの行政組織法上の権限内においてのみ締結さるべきであるとしても局長らはその職務上局内における職員に対し担務の指定、労働条件の変更等労務管理権業務命令権を有するものであるから右権限の行使に関し特に協約の締結を禁ずる旨の法令がない限り、右権限内の事項に関し協約締結権を有するものである。課長中には交渉委員の資格を有しない者がいたことは認めるが、郵便局内においては課長が単独で組合と協約を締結することはなく局長と密接な連絡のもとに局長を代理して担当課長が協約の締結にあたつたものというべきである。
(二) 中央交渉においては、組合員の一般的基本的労働条件の決定を交渉の主目的とし服務表、勤務指定表及び担務指定についても一応「勤務時間及び週休日等に関する協約」が締結されてはいる。しかしながら、当局が実際に各組合員の服務表等を作成するには、右中央交渉の決定を各地の実情に副うように具体化すること及び地域の特殊性に基づく労働条件を決定しなければならぬため、地方交渉という形で当該組合支部と協議決定せざるを得ないものである。
二、争う。
本件協約の内容はすべて労働条件そのものであり、それ自体としては管理運営に関する事項を含むとしても、具体的に職員の労働条件又は処遇関係に密接な関連を有する事項であり団体交渉及び労働協約締結の対象となるものである。
三、争う。
被告ら主張の如き表題末尾部分のある文書が本件各協約のうちにあることは認めるが、その内容において労働条件に関し団体交渉の結果双方の合意に達した内容の記載であり、その履行を確保するために成文化され記名捺印もなされているのであり労働協約としての形式と実質を有する。
四、争う。
本件各協約の成立が被告ら主張の異常事態下でなされ、組合員が業務支障を惹起しかねない言動を示したこと、本件協約の存在によつて郵便物の滞留を生ぜしめた事実については何れも否認する。
被告 国
延岡郵便局長
(被告らの申立て)
第一、本案前について
原告らの被告局長に対する訴を却下する。
第二、本案について
一、原告らの請求をいずれも棄却する。
二、訴訟費用は原告らの負担とする。
(被告らの本案前の主張)
一、本訴は行政庁のなした処分の取消変更を求める抗告訴訟ではないから被告局長は当事者たる適格を有しない。
二、原告らが労働協約と称するもののうち左記については、以下の如く既に履行済又は事情変更等のため現在において確認の利益がない。
(一) 別紙目録記載第一中一項は郵政大臣と全逓中央本部の労働協約ができるまでの暫定的措置に関するものとする特約があり右中央協約が昭和三三年四月一五日に締結され更に右協約において下部機関たる局長と組合支部において協議決定すべきでない旨定められた以上、失効しており確認の利益はない。
五項については生島課長は既に転勤ずみ、二項及び七項は法律上当然のことであり、又履行済。
(二) 同第二全項は昭和三六年八月二二日新服務表が作成されているので全項変更されている。
(三) 同第四中一項は現在これらの清掃は外部業者に行わせている。三項は履行済。
(四) 同第五全項については過員については既に配置転換済。
(五) 同第六全項現在募集指導官制度及び貸付監査票の庁外持出しは何れも行つていない。
(六) 同第七中一項、二項については右(五)と同様
(七) 同第八中三項、四項は履行済。
(八) 同第九全項は、いずれも昭和三五年から三六年正月にかけての特定の繁忙期に関することで、すべて履行ずみである。
(被告の答弁)
一、認める。
二、被告局長が原告支部と労働協約締結権を有するとの点を否認しその余の事実を認める。
三、否認する。但し、本件各協約中別紙目録第一、第七ないし第九については当時の被告局長が、その余は同郵便局の各課長らが原告支部長との間に別紙目録各記載の日時に同目録記載内容の如き各書面を作成した事実は認める。
四、認める。但し、法律上当然拘束力のないものを無効宣言をしたのであり労働協約の破棄通告には該らない。
五、争う。
(被告らの本案に対する主張)
第一、本件各協約と称するものを無視するに至つた事情
昭和三三年原告らが春期闘争としてなした争議行為の責任を問われて全逓中央執行委員長等三役が郵政大臣より全員解雇の行政処分を受けたが、全逓が右処分を無視して右解雇された三役をそのまま組合役員として再選したため、郵政省は全逓を団体交渉等の当事者とは認めない方針をとり、そのため労使関係の真空状態を生じた。これに対して全逓は各郵便局職場毎に施設要員の不備不足を理由に郵便作業の停滞を生ぜしめるような態勢をとつて圧力を加え、郵便物を遅配させまいとする郵便局長をして公労法八条但書の管理運営に関する事項等本来郵便局長と組合間において約束できない事項についてやむなく約束させ書面化したものであり、延岡郵便局においても本件各確認書等の協定がなされた。その結果、郵便物遅配等の傾向が更に顕著となつたので、昭和三六年八月一二日延岡郵便局長は、右状態を解消し正常な郵便事業を回復するために本来違法無効で何らの拘束力をも有しない本件各協約と称するものを無効宣言したに過ぎないものである。
第二、本件各協約と称する書面は、以下に述べる何れの事由より見ても無効のものである。
一、(一) 行政組織法上郵政省の所管事務に関して国が原告らと労働協約を締結する場合にはその長たる郵政大臣がその締結権限を有することは当然であるが、その下級機関たる郵便局長、更にその補助機関たる課長は法令により特にその権限に属せしめられた事項、或いは郵政大臣より特別に権限を委任された事項についてのみを国を代表して事務を行なう権限を有するに過ぎない。然るに、現在郵政大臣より特別に労働協約締結権限を与えられている事項は交渉委員たる郵便局長について労働基準法第二四条、同第三六条に基づく協定を締結する場合及び地方及び支部における団体交渉の手続に関する協定を締結する場合に限られており、右以外に関して郵便局長及び課長は協約締結の権限を有せず、本件協約と称するものは各局長らが何らの権限なくして原告支部と締結した無効のものである。
本件各書面を作成した各局長及び課長中公労法第九条の交渉委員として指名されていないものは勿論指名されている者であつても労働協約の締結権を有するものではない。
(二) 郵政省と全逓との間においては労働協約により、中央、地方及び支部の三段階の交渉の場が設定され団体交渉の運営が行われる手続になつているが、この中で最も重要な役割を有しているのが郵政省と全逓中央本部との間における中央交渉である。そして、この中央交渉により締結された中央協約において末端事業場である郵便局におけるあらゆる労働条件についてまで網羅的に決定されているため、下部交渉における団体交渉事項は中央交渉に含まれない下部に特有な事項にのみ限定され中央交渉事項に及ぶことは許されない。現実に下部における郵政省側交渉委員の労働協約締結権は労働基準法第二四条及び同第三六条に基づく協定ならびに下部における団体交渉の手続に関するものに限定されている。
(三) 服務表、勤務指定表及び担務指定について
(1) 郵政職員の勤務時間、休憩、休日および労務の提供内容としての勤務の種類、始終業時刻等については、中央協約に画一的、網羅的に規定されていて職員は、右の中央協約で定める労働条件のもとで使用者の労務指揮権に服することが労働契約上の義務とされているのである。
(2) 服務表は、右の労働契約に基づき、中央協約において定められた勤務の種類、始終業時刻、休憩、休息、週休日を設ける方法等に関する規定を事業場の職員に実際に適用する場合において、その適用の範囲、仕方等を職員の利便に資するために明示した書面にすぎないから、職員の労働条件を何ら創設し、変更するものではない。
(3) 服務表の性格は右のとおりであるから、その作成、変更は、まさに労働力を経営組織体に秩序づけるために本来的に使用者の有している労務指揮権の作用であり、右中央協約上も所属長の専権に委ねることが明定されているものである。
したがつて、服務表の作成、変更は労使の共同決定に委ねる余地は全くないものであり、仮に共同決定したとすれば、中央協約の明文に違反するばかりでなく、使用者の労務指揮権を侵害することになり、無効な行為であることは明らかである。
(4) また、勤務の指定は、職員の利便を図るため、服務表で明示された内容の範囲で所属職員が日々実際に服すべき勤務の種類と週休日を四週間単位で具体的に指定するものにすぎないから、当該事業場の業務を効率的に運営するため労働力を按配する労務指揮権の作用として、所属長の本来的な権限に属することは明らかであり、服務表の場合と同様中央協約もこの点を確認しているものである。
(5) さらに担務の指定は、郵便局組織規程(昭和二五年公達第九号)に基づき設置されている課の分掌業務に従事することを命じ、あるいは、その課の分掌業務をさらに細分化した担務を命ずる等労働契約の範囲内において職員が日々実際に服すべき業務の内容を指定することをいうものであるからまさに所属長の労務指揮権に属する事項であり、これはそもそも中央協約自体も何ら関与していない事項である。
二、一般に団体交渉の対象は労働条件に関してであるが、公労法第八条但書は公共企業体等の管理及び運営に関する事項を団体交渉の対象から除外している。ここに言う管理及び運営に関する右事項の内容としては企業経営権の内容に含まれるもの、人事権、職務命令権(国家公務員法第八二条三号、九八条一項、一〇一条一項等)に関する事項、庁舎管理権(国有財産法)に関する事項がそれである。
従つて、右管理及び運営事項について労働協約を締結しても右協約は公労法第八条但書に抵触して当然に無効である。本件各協約中以下の部分は管理運営事項を対象としているから無効のものである。
(一) 別紙目録第一中一項については、服務表、勤務指定表の作成及び変更は中央協約(昭和三三年四月一五日付勤務時間及び週休日等に関する協約)で確認済のとおり所属長の職務命令権に属するものであり、二項については庁舎管理権にわたるもの、又二項から六項までは何れも労働条件に関する事項でない。
(二) 同第二中の全項は全て職務命令権に関する事項
(三) 同第三は上司の職務命令権に属すること
(四) 同第四中、一項、三項は庁舎管理権、二項は職務命令権に属する事項
(五) 同第五中、一項、二項は人事権、職務命令権に、第三項は企業経営権に関するもの
(六) 同第六中、一項、二項は人事権、三項は企業経営上の事項
(七) 同第七中、一項は人事権に二項は企業経営上の事項、三項は職務命令権に属する事項
(八) 同第八はすべて、人事権、職務命令権、庁舎管理権ないし企業経営権に属する。
(九) 同第九、前第八同様
三、本件各協約と称するものの文書の形式において各書面の表題は「確認書」「議事録確認」とされているものがあり、又末尾に「上記議事録として確認する」旨の記載があり、「労働協約」とはなつていないし、内容においても労働協約として有効に締結しうる事項は存在せず両当事者間においてこれを労働協約として成立させる意思はなかつたのであるから労働協約としての効力を有しない。
四、郵政事業は高度の公共性を有し、その業務の停滞は国民生活に重要な影響を及ぼすものであるから、郵便局における業務運営が正常能率的に運営されることは民法第九〇条の「公の秩序」ともいうべきものであるところ、本件各協約と称するものは、多数組合員が長時間にわたり局長等を取り囲むという異常事態下において局長らがこれに調印しなければ業務の支障を惹起しかねない言動を示したので、業務運営の責任者としての各郵便局長、課長らがやむなく自己の権限外の事項で、かつ管理運営事項にわたるものについてまで各書面に調印したのが本件各協約と称するものである。
その結果、右各文書の存在によつて現実に厖大な郵便物の滞留を生ぜしめ業務の正常な運営を阻害したものであり、仮に労働協約に該るとしてもその成立のいきさつ内容から公序良俗に反するものとして無効である。
以上の如く本件各書面は何れも労働協約としての効力を生じていないものであり、これが存在することの確認請求も、これが有効性を前提とする損害賠償の請求も失当であるから、本訴請求は何れも棄却さるべきである。
別紙目録(一)
第一、昭和三二年一一月一五日
一、服務表、勤務評定表の作成、変更及び其の他の労働条件に関することは一切組合と協議の上決定すること。
二、組合管理の器具物品には一切手をふれないこと。
三、業務命令によつて組合員を萎縮させるような労働管理を行わないこと。
四、権力をふりかざした弾圧や言動(例えば二口目には処分処分、或は組合から指図は受けないと云う言動)をやめること。
五、労務管理については庶務課長独断の疑いが強いので局長は責任をもつて善処すること。
六、労務管理については単に信念や見解程度で事を処理することなく確固たる根拠のある施策を行うこと。
七、団体交渉確認事項は誠実に守ること。
第二、昭和三五年四月七日
一、一番線及び二番線の引継は一四時から一五時までに行い二号便並びに市外区帰局後の事務を受ける。
二、特別区とは船倉、南町、中川原、東海の各区とする。
三、一四番線は八時三〇分まで小包大区分とする。従つて同時刻まで区分未済があると認められる場合は主事はあらかじめ非常勤者を配置する。
四、一四番線は土曜日に限り一一時以降一二時まで小包取集を行うものとする。従つて一〇時一六分以降一一時までは速達二号を行う。
五、前送する場合は組合と事前協議を行い実施する。
六、一一番線は土曜日に限り一六時以降一七時まで速達五号を行う。
七、この服務表を実施した際に種々問題点が出た場合は充分組合と協議して善処する。
八、この服務表は昭和三五年四月一五日より実施する。
第三、昭和三五年四月三〇日
特〆郵袋到着の際は切手倉庫に於いて開袋作業が終了するまで本務者は一切手を付けず非常勤職員をもつて措置する。
第四、昭和三五年五月二四日
一、郵便外勤作業室及び郵便外勤休憩室の清掃(ふき掃除を含む)を一日一回(后一時三〇分から后二時まで)実施する。但し祝日、日曜を除く。
二、対公衆から郵便物受領に出局し又は問い合せ等があつても官の責任で措置する。従つて組合員は一切これに協力せず、又官は組合員を使役しない。
三、郵便課は事務の性質、内容から部外者の入局を禁止しているにかかわらず最近は部外者の出入が多く犯罪事故の誘発を招くときがあるので確認者作成以降一切部外者の入局禁止を徹底して講じる。
第五、昭和三五年五月三〇日
一、一二本の服務表はそのままとして、一応暫定的に一名の過員の服務表及び担務は別途分会長と合議のこととするが、過員解消の場合は分会長と合議し定員通りの服務表及び担務とする。
二、過員調整は強制配置転換のない形で課長の責任で行うものとする。又組合員の希望を徴する時は、公平無差別を旨とし、一部のグループ或は特定人に対し、しようようすることは行わない。
三、貯金課内勤事務中「引揚国庫債券元利金支払事務」「国民年金支給事務」及び「恩給振替預入事務」等の激増と増設に伴い過員一名はこれを定員の中に入れるよう郵政局に対し充分努力する。
第六、昭和三五年八月四日
一、本人の意向を充分聴取し了解のない限り募集指導官の発令は行わない。
二、募集指導官の出張及び指導について延岡局として派遣要請は行わない。
三、貸付監査票の一方的局外持ち出しは行わない。
止む得ぬ事情から局外持出しを行う場合は、事前に組合と団交のうえ持ち出しを行う。
第七、昭和三五年九月二日
一、保険募集技術指導官の発令について(特定局関係)
ア、組合員の了解のない限り、所属長は推せんしない。
イ、指導官の派遣要請は労使双方のこの問題に関する結論が出るまで派遣要請は行わない。
二、貸付監査票の取扱について(特定局関係)
貸付監査票の一方的局外持ち出しは行わない。止む得ぬ事情から局外持ち出しを行う場合は、事前に組合員の了解を得て所属分会長又は執行委員と協議のうえ持ち出しを行う。
三、指定局事務打合会出席拒否について
組合員に対し意に反する出張発令は行わない。
第八、昭和三五年九月一三日
一、郵便内勤・勤務指定表の作成について
イ、主事が各種資料の提供と助言を行い課長が作成する。
なお助言とは口答で応答することであり、直接本人が記入することではない。
ロ、課長不在時における(イ)の事務処理は緊急止む得ざる場合にのみ課長代理、三番線の順でこれにあたる。
但し早朝の場合は課長に電話連絡して指示を受ける。
二、貯金課内勤の次の労働条件の解決について
イ、ペン先の取扱について
一週二回程度取替を行う、又公衆から申出があれば貯金課長において取替を行うこととする。
ロ、非常勤の採用を積極的やれについて
永続性のある人物を今後とも努力する更に非常勤の責任の所在を明示する。
三、貯金外勤の欠員後補充について
イ、郵内の甲斐林を貯外に配置換することは止むを得ない。
ロ、郵内に増員又は欠員を生じた場合は甲斐林を郵内に配置換するよう実現方に最大の努力をする。
ハ、貯外に増員又は欠員を生じた場合は寺田記念生を、配置換する。
四、為替貯金外務員合同訓練出席拒否について
本人は訓練担当者を辞退するので取消手続をする。
五、市内無集配特定局窓口担当者貯金事務研究会出席拒否について
本人の意に反する出張発令は行わない。
第九、昭和三五年一二月一五日
一、年末首繁忙期中の服務表について(延岡局関係)
従来も組合と話し合いを行つていたので話し合いの上行う。
二、一二月三一日及び一月一日超勤命令について
超勤の命令は自制する。
三、要軽業者及び要注意者、宿明者の超勤命令について
超勤命令は行なわない。
四、年末首繁忙期間中における計画年休及び自由使用の年休について
計画年休は各事業共最繁忙期には附与は中止しておると思うが若しあれば附与する自由年休は特別な事由によるものは認める。
五、配置地図の作成について(延岡局関係)
超勤命令をもつて行う。
六、入浴施設について(延岡局関係)
一二月二〇日から一月一〇日まで午后六時から毎日入浴出来るよう行い、風呂水は清潔に保つよう努力し電灯は明るくする。
七、小包分室勤務者に対する入浴券の交付について(延岡局関係)
午後五時以降勤務終了者に対し交付する。
八、年末首繁忙期間中における化粧石鹸の交付について(延岡局関係)
年末首繁忙期間中外務主事あて常に交付する。
九、郵便特殊取扱室の外面の窓ガラスについて(延岡局関係)
スリガラスと取替えることとする。
一〇、超勤命令の日別計画表の作成について
日別計画表を作成し、郵内外の職場に掲示する。
一一、午前八時以前及び午後八時以降の超勤命令について
午前八時以前は行なわない午後八時以降は特別な場合を除き自制する。
特別な場合とは窓口計算事務の不符合の場合と食事時間を指す。
一二、年末首繁忙時の補助費の使用について
一方的に行なわず各分会長の意向を反映して使用する。
一三、年末首繁忙期の週休振替について
週休の振替は行なわない。
一四、臨時雇の日額について(延岡局関係)
季節的要員及び見習期間(二ケ月)を除き協定による最低額とする。
既に使役中の者は一二月一日より内勤者二二〇円外勤者二四〇円とする。
一五、元日の祝賀式について
郵便物配達前の祝賀式は従来通り行なわない従つて酒を従来出していた局は別な時期に出す。
一六、郵便能率向上手当の支給について
組合と協議して支給する。
一七、年末首繁忙期間中臨時自動車の運行について(延岡郵便局関係)
方針として臨時便は出さないつもりであるが、出す場合は事前に(少くとも前日まで)沿道各局に連絡する。
別紙目録(二)
作成年月日
表題
当事者
証拠
全逓側
郵政省側
1
昭和二八年一月三〇日
昭和二八年度における団体交渉を行う単位に関する協定
全逓中央執行委員長
郵政大臣
甲一〇の一
2
〃五月一二日
交渉委員会の運営等に関する協定
全逓中央執行委員長代理
郵政大臣官房人事部長
甲一〇の二
3
〃六月一日
地方における団体交渉の方式に関する協定
全逓中央執行委員長
〃
甲一〇の三
4
〃
「地方における団体交渉の方式に関する協定」に関する了解事項
全逓中央執行委員長代理
〃
甲一〇の四
5
〃七月二八日
地方における交渉委員会の運営等に関する協定
〃
〃
甲一〇の五
6
〃八月一二日
「地方における団体交渉の方式に関する協定」の有効期間に関する覚書
〃
〃
甲一〇の六
7
〃〃
「地方における団体交渉の方式に関する協定」に関する了解事項(第二)
〃
郵政大臣官房人事部管理課長
甲一〇の七
8
〃一九日
「交渉委員会の運営等に関する協定」附属覚書
〃
〃
甲一〇の八
9
昭和二九年四月二四日
地方における団体交渉の方式に関する協定
〃
郵政大臣官房人事部長
甲一〇の九
10
〃六月二四日
昭和二九年度の地方における団体交渉の方式に関する協定
〃
〃
甲一〇の一〇
11
〃
昭和二九年度の交渉委員会の運営に関する協定
〃
〃
甲一〇の一一
12
昭和三〇年一月三一日
昭和三〇年度における団体交渉を行う単位に関する協定
〃
郵政大臣
甲一〇の一二
13
〃四月一日
昭和三〇年度の地方における団体交渉の方式に関する協定
〃
郵政大臣官房人事部長
甲一〇の一三
14
〃
昭和三〇年度の交渉委員会の運営等に関する協定
〃
〃
甲一〇の一四
15
昭和三五年四月三〇日
団体交渉の方式および手続に関する協約
全逓臨時組合代表者
〃
甲一〇の一五
16
〃
「団体交渉の方式および手続に関する協約」に関する議事録確認事項
全逓中央執行委員
郵政大臣官房人事部管理課長
甲一〇の一六
17
〃一二月一二日
団体交渉の方式および手続に関する協約
〃
郵政大臣官房人事部長
甲一〇の一七
18
〃
「団体交渉の方式および手続に関する協約」に関する議事録確認事項
〃
郵政大臣官房人事部管理課長
甲一〇の一八
19
昭和二八年七月二五日
九州地方における団体交渉の方式に関する協定
全逓九州地方本部執行委員長
熊本郵政局人事部長
甲五
20
〃九月一七日
九州地方における交渉委員会の運営等に関する協定
〃
〃
甲六
21
〃
「九州地方における交渉委員会の運営等に関する協定」についての覚書
〃
〃
甲八
22
昭和三五年五月二七日
「九州地方における団体交渉については」に始まる。
全逓九州地方本部書記長
熊本郵政局人事部管理課長
甲一一